aikoばかり聞いていた大学生の頃の話
もう全く漫画も旅も関係ない。漫画の話はいつ書くんでしょうかね。それはさておき。大学2年生の終わりからおよそ1年間aikoばかりを聞いていた時期の話。
それまでの自分にとってaikoと言えば、ドラマ「がんばっていきまっしょい」の主題歌になっていたキラキラのイメージが強かった。当時中学生だったが、その頃はとにかくドラマを多々見ていて、ドラマ自体もこの曲も、強烈に夏を突き付けてくるものだったから、aiko=キラキラという印象がこの時に根付いてしまったのだった。
あとはカブトムシ、ボーイフレンドを知っていたくらい。その程度の印象しかないまま時は過ぎ、大学2年の終わりに差し掛かっている頃、aikoにハマった。
何がそうさせたのか、今となっては思い出せない。
歌手やバンドにハマって聞き漁る時、ハマるきっかけとなった曲をはっきりと覚えているものと、そうでないものがある。自分にとってaikoは後者だ。
当時はまだ、CDを借りてパソコンに落とすのが主流の時代。蔦屋でアルバムを何枚か借りてはパソコンに落とし、自分のiPodに入れる。そんなことを何回か繰り返すうちに全てのアルバムを借りてしまい、時間があればaikoの曲を聞くようになった。
図書館や家で勉強をしている時、バイト先のスーパーまで向かう道すがら、バスや電車での移動時間。何か聞くという時は、ほぼaikoを聞いていた。
特に聞いていたアルバムが「時のシルエット」。最初聞いたときは何か地味だなーと思っていたのだがとんでもない。Akaから始まり自転車で締める曲構成は聞くほどに味が出てくる、まさに名盤である。
曲単体では深海冷蔵庫やシャッターを繰り返し何度も聞いていた。深海冷蔵に至っては聞くだけに足りず、友人とカラオケに行く度に歌っていた。なんとも、はた迷惑な野郎だとつくづく思う。
まさに日常に根付くほど聞いていたのだが、そんな日もパソコンとiPodが壊れたことで終わりを迎える。データのバックアップも取っておらず、当然復旧することも出来なった。もう1度CDを借りて、とも少し考えたが元々aiko以外にも膨大な曲数が入っていたので億劫さが勝ってしまい、以降CDを借りることはなくなってしまった。大学3年の終わりのことだった。
それから大学大学院を卒業し、働き始めて少し経つ頃まで音楽と言えば家にいる時にYouTubeで聞くくらいになっていた。が、それがきっかけで聞くようになったものも少なくない。空気公団やLamp、茶太あたりがそうだ。
社会人2年目に車を購入してからは、通勤時間に音楽を聞くためストリーミングサービスを利用するようになる。ストリーミングサービスでは、高校大学とよく聞いていた歌手、バンドの曲が数多く提供されており、データの消失と共に聞く機会を失っていた曲を再び聞くようになった。が、aikoの曲はデジタルで数曲配信されている程度であった。
そして、時はさらに過ぎ2020年2月。ついにaikoの曲がストリーミングにて提供されるようになった。それも全曲。大学2年~3年の頃よく聞いていた曲から、聞かなくなって以降に発売されたアルバムまで。あの頃のように毎日聞き込んでいるわけではないが、日常の中に戻ってきたことはやっぱり嬉しい。
好きでよく聞いていた曲、聞くうちに好きになった曲というのは、その時々の記憶と結びついていて、時間を経て聞いた時に、過去の記憶を呼び起こしてくれる。
シュノーケルの「天気予報」は高校生の頃、朝自転車で駅へと向かう道を。GOING UNDER GROUNDの「南十字」はその帰り、田んぼの一本道で見上げた夜空を。the pillowsの「Ladybird girl」は大学1年の頃、夜中に高速を走る先輩が運転していた車内をそれぞれ思い起こさせてくれる。どれも何てことのない風景だ。
それでいうと、aikoの曲はあの頃の生活そのものと結びついている。テスト勉強をする時にいつも座っていた図書館の窓際からの景色。冬場雪が多く、辟易としながら歩いていたバイト帰りの夜道。実家に帰るローカル線から見える険しい山々やのどかな田園。aikoの曲を聞くと、あの頃のそんな何気ない思い出や記憶がじんわりと蘇ってくる。
あと何年か経った時、今の自分を思い起こさせるのはどんな曲になるのか。普段は意識しないけれども、それをちょっぴり楽しみにしながら。今日も好きな曲を聞いている。